「パナソニック人事抗争史」を読んで
前回に引き続き、大手電機メーカー関連の書籍になります。パナソニックといえば松下やナショナルや様々な呼び名がありましたが、社名をパナソニックと変えたことでブランドが統一されました(松下が消えた)。私のざっくりとした認識だとこの程度ですが、なるほど、経営者の交代が非常に大きいことが分かりました。
個々の社長の失敗、成功は置いておき、一番目につくのが幹部に「優しい人事」だと思います。2000年代に10,000人以上のリストラを断行しつつも、社長候補は以前にビジネスで失敗をした方々が名を連ねております。それが、才能による輩出であればある意味美談ではありますが、なかなかそうとは言い切れない面があるのが苦しいところです。
市場があり、シャアを獲得できるのを平穏な時期といえるとしたら、この「優しい人事」は平穏な時期では効果を発揮すると思います。前任者の後を引き継ぎ、大きな改革をせずに改善を行っていけば次につながっていきます。
しかし電機メーカーにとっての平穏な時期は90年代後半から厳しくなってきたと思います。まず、家電が国内ブランドから海外ブランドに移行してきたこと。単身者が増え、かけられる費用が限られて国内シャアが縮小したこと。技術開発にかけて繰り出した最新製品が後追い企業に模倣され、廉価版が販売されます。特にTV関連は一番記憶に新しいのではないでしょうか?
この「優しい人事」は日本の歴史においても特徴的です。よく比較されることですが、第二次世界大戦時の日本の人事と英国の人事が特徴的です。15年以上戦争・事変が身近にある中で、特にアメリカ・元同盟国の英国と一戦を交えることは非日常的な事だと思います。しかし、作戦内容は延長的な部分が多く、さらに人事に関しても一度任務を失敗した方々が要職についてます。反対に、英国は失敗した人間は役職から外し、作戦に参加できないことがほとんどです。
日本的な人事は今後も企業内に生かすべきでしょうか?二者択一は無意味ですが、ぬるま湯につかってモノを考えない経営者にはなりたくないと思います。